「木が泣いている」というタイトルの本を読みました。
読みやすく、社会課題が学べる本です。
この記事では、本の紹介と要約しています。
この記事の内容
書籍「木が泣いている」の要約 3ポイント
- 日本の森についての前提知識
- 森と人の暮らしの関わり
- これからの森の使い道
こちらの本をご紹介。
小学校高学年〜中学生むけの書籍ですが、大人が読んでもじゅうぶんに楽しめます。
本はちょっと苦手という人にちょうどいい良書です。
むずかしい表現がすくないので、スラスラと読めます。
この記事の信頼性
この記事を書いているぼくは、副業として自伐型林業をしています。
林業は日本にとって変えのきかない産業の1つです。
そのすばらしさを広げるためにブログなどで発信中。
会社員をやりながら、自伐型林業をしています。
自分のペースで楽しんでいますよ!
前置きが長くなりましたが、さっそく書籍「木が泣いている」を要約して紹介します!
この記事で、林業について考えるキッカケになったらうれしいです。
【書籍】「木が泣いている」日本の森でおこっていること
この書籍では、日本の森についての歴史から、日本の森林問題、森林の今後の使い道について、順番に学べます。
子供むけなので、とても読みやすいのがうれしい良書。
林業の本は両極端なものがおおいです。
- エラい人の書いためちゃめちゃお堅い文献
- 林業をやっている人の体験書
「木が泣いている」はちょうどよいバランスです。
かしこい人がわかりやすく書いてくれています。
1. 日本の森はどのように利用されてきたのか?
日本は世界有数の森林国。
7割が森林という自然に恵まれた国です。
森林面積、森林率はOECD加盟国でフィンランド、スウェーデンに次いでNo.3。
世界でトップクラスの森林のなかで、日本人は暮らしています。
しかし、昨今ではいろいろな問題で森林をうまく活用できていません。
日本の森林がつかわれなくなった要因
- 木材需要の低下
- 木材価格の下落
- 海外の木材の輸入
縄文時代〜現代までの森との暮らし
縄文時代から木材は利用されています。
火を起こすのに使われ、住居の近くに育てられていたようです。
竪穴式住居に木材がふんだんに使用されています。
- 支柱
- 桁
- 垂木
ずいぶん昔から森は人間の暮らしと密接だったことがわかります。
弥生時代の中期にはさまざまな道具に木材を使用。
奈良時代の「風土記」からさまざまな草木が薬用としてつかわれてたと記されています。
飛鳥時代〜戦国時代にかけては、建築物に大量の木材をつかいます。
当時の神社仏閣はすごいですよね!
木材の偉大さを感じます。
農地の開墾がさかんになり、どんどん森が切り開かれました。
676年には日本で最古の伐採禁止令がだされたと日本書紀に記されています。
戦乱のなかでは、家が燃えては建てなおし、森が焼かれることもあります。
そのままにすることなく、植林に着手したのが室町時代。
さまざまな文献に植林について残されています。
江戸時代にはいると、城の建設や家屋におおくの木材が集まります。
火事がおおいため、つぎつぎに修復。
どんどんと森林伐採がすすみ、資源の枯渇が深刻化していきました。
そのため幕府や各藩は「留山」といわれる伐採禁止令をだし、災害の防止と水源の確保に力をいれはじめます。
このころには森林の専門家があらわれ、林業が発展していきます。
明治時代には急激な近代化がすすみ、木材の利用がさらに拡大。
各地で災害が起こるようになります。
1897年に日本ではじめて森林法が制定。
ここから戦争の時代に突入。
木材はさらに必要となり、林業がさかんになっていきます。
国の後押し、戦後の木材価格の高騰などが重なって、成長の早いスギ・ヒノキの造林ブームが起こります。
間もなくして、安い外材が輸入されて林業は勢いを失います。
そして今に至る…。
森林がなければ日本はここまで発展しなかったんじゃないかな…⁈
2. 森と人の暮らしのかかわり
森には8つの多面的な機能があります。
- 生物多様性保全:野生生物のすみか
- 保健・レクリエーション機能:川・海・山であそぶ
- 地球環境保全:温暖化をふせぐ
- 快適環境形成機能:CO2を吸収して酸素を供給
- 土砂災害防止機能:土砂などの災害をふせぐ
- 文化機能:よい景観
- 水源涵養機能:水をはぐくむ
- 物質生産機能:木材や食材をつくる
どれも大切な機能です。
この多様な役割をはたすためには、人の手を入れる必要があります。
そのために、林業従事者=フォレスターが存在が不可欠です。
国としては「緑の雇用」として、いろいろと働きかけています。
林業男子・林業女子というワードをつかって活動を広げている方々もいます。
少しづつかもしれませんが、林業にかかわる人を増やす動きは広がっています。
3. これからの森の使い道
国産材をつかうことは、荒れた林地に手が入り、健康な森につながります。
それは、多くの地球環境の課題が解決するキッカケにもなります。
国産木材の使い道①:公共建築物の木造化
東京オリンピック・パラリンピックでは全国各地の木材がふんだんに利用されました。
- 有明体操競技場
- 国立競技場
- 選手村ビレッジプラザ
どれもすばらしい仕上がりで、多くのひとから感嘆の声が上がりました。
国産木材の使い道②:木質バイオマスエネルギー
廃棄物としていた木材を有効に活用することで、廃棄物を減らし、循環型社会の実現につながります。
間伐材がほとんど利用されていないので、間伐材の有効利用がカギ。
薪をつくってボイラーで使用する事例もあります。
薪ストーブも有効です。
まとめ:書籍「木が泣いている」
この記事で本の内容をすべてお伝えするのはむずかしいため、
「興味がわいた!」
「もっと詳しく知りたいっ!」
と、思っていただけたらぜひ手に取ってください。
林業についての本はたくさんありますが、最初の一冊におすすめです。
林業をやっている人なら、今の仕事の意義がつよく感じられ、働きがいにつながります。
林業をやっていない人でも、林業従事者に感謝できるようになれますよ。